横浜馬場整体院の馬場佳志です。
「アトピーと血糖値」というタイトルで2021年に動画で説明していましたが
今回は文書で開設させていただきます。
「保湿もしっかりしているし、病院の薬も塗っているのに、なかなかアトピーが良くならない」
そんなご相談を受けることがとても多いです。
もちろん、スキンケアや睡眠、ストレスなど、アトピーに関わる要素はたくさんあります。ですが、意外と見落とされがちなのが**「血糖値の乱高下」**という視点です。
「血糖値?アトピーって皮膚の話じゃないの?」と思われるかもしれません。ですが実は、血糖値が急に上がったり下がったりを繰り返すことが、体の中でアトピーの改善にブレーキをかけてしまっている可能性があるんです。
今回は、この「血糖値の乱高下」と「アトピー」の関係について、できるだけわかりやすく、中学生の方でも理解できるようにお話ししていきたいと思います。専門的な言葉も出てきますが、ひとつずつ丁寧に説明していきますので、安心して読み進めてくださいね。
1.昔よりアトピーの人が増えた理由のひとつ「精製糖質」
まず最初に、「なぜ昔に比べてアトピーで悩む人が増えたのか」という話からしていきます。
もちろん理由はひとつではありません。住環境、食品添加物、大気汚染、アレルギー体質の変化など、さまざまな要因が絡み合っていると考えられています。ですがその中の一つの要因として、「精製された糖質(砂糖や白い炭水化物)を摂る機会が、昔よりも圧倒的に増えたこと」が挙げられます。
「精製糖質」というのは、簡単に言うと、
- 白いご飯(玄米ではなく白米)
- 白いパン
- うどんなどの白い麺
- 砂糖がたっぷり入ったお菓子、ジュース、清涼飲料水
といった、食物繊維やミネラルなどが取り除かれて、糖質(体の中で言う「ブドウ糖」)がスピーディーに吸収されやすい形に加工された食べ物のことです。
昔の食生活は、玄米や雑穀、根菜類など、食物繊維が多く含まれる「未精製」の食べ物が中心でした。ところが現代では、コンビニやスーパーに並ぶ食品の多くが、精製された糖質を大量に含んでいます。お菓子やジュース、菓子パンなども、いつでもどこでも手に入るようになりましたよね。
こうした精製糖質を日常的に摂ることで、私たちの体の中では「血糖値スパイク」と呼ばれる、血糖値の急上昇・急降下が頻繁に起こるようになりました。
そしてこの血糖値スパイクこそが、これからお話しする「アトピーの改善を邪魔するメカニズム」の出発点になっているのです。
※ここで大切なのは、「精製糖質を摂ったら必ずアトピーになる」という単純な話ではないということです。あくまで、アトピーが治りにくくなる要因のひとつとして、血糖値の乱高下が関わっている可能性がある、という視点として読んでいただければと思います。
2.血糖値スパイクって何?「GI値」から理解しよう
ここからは、「血糖値スパイクがどうして起こるのか」を、もう少し詳しく見ていきましょう。キーワードは「GI値」です。
GI値とは
GI値(グリセミック・インデックス)とは、その食べ物を食べたときに、血糖値がどれくらいのスピードで上がるかを数値化したものです。
イメージとしては、
- GI値が高い食べ物 → 血糖値が「ドカン」と急上昇しやすい食べ物
- GI値が低い食べ物 → 血糖値が「ゆるやか」に上がる食べ物
と考えるとわかりやすいと思います。
たとえば、白いご飯や食パン、砂糖たっぷりのジュースやお菓子は、GI値が高い食べ物の代表です。消化・吸収がとても早く、食べてすぐに血糖値がグーッと上がってしまいます。
反対に、玄米や全粒粉のパン、野菜、豆類などは、食物繊維が多く含まれているため、消化・吸収がゆっくりで、血糖値の上がり方もなだらかです。
先ほどお話しした「精製糖質」は、まさにこのGI値が高い食べ物にあたります。精製されることで食物繊維などが取り除かれ、体への吸収スピードが上がってしまうのです。
血糖値が急上昇すると、体はどうなる?
血糖値が「ドカン」と急に上がると、体は「大変だ、血糖値を下げなくては」と、すい臓からインスリンというホルモンを大量に分泌します。
インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて、血糖値を下げる働きを持つホルモンです。血糖値が急上昇した分だけ、インスリンもドバっと大量に出てしまいます。
すると今度は逆に、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。これを「低血糖」と言います。急上昇した反動で、今度は「ガクン」と血糖値が下がってしまうのです。
体にとって、血糖値が下がりすぎるのはとても危険な状態です。特に脳は、ブドウ糖をエネルギー源として使っているため、血糖値が下がりすぎると正常に働けなくなってしまいます。
そこで体は、「なんとかして血糖値を上げなければ!」と緊急事態モードに入ります。このときに登場するのが、
- コルチゾール(副腎から出るホルモン)
- アドレナリン(副腎から出るホルモン)
- その他、血糖値を上げるホルモン
です。これらのホルモンが総動員されて、下がりすぎた血糖値を、また元に戻そうとするのです。
つまり、精製糖質を摂ることで、
血糖値急上昇 → インスリン大量分泌 → 血糖値急降下(低血糖) → コルチゾール・アドレナリンで血糖値を上げる
という、ジェットコースターのような乱高下が、体の中で繰り返されることになります。これが「血糖値スパイク」と呼ばれる状態です。
3.コルチゾールの「無駄遣い」がアトピーの敵になる
ここが、今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。
先ほど出てきたコルチゾールというホルモンには、実はとても大切な働きがあります。それは、
炎症を抑える・かゆみを抑える
という働きです。コルチゾールは、体の中で作られる「天然のステロイド」のような存在とイメージするとわかりやすいかもしれません。病院でアトピーの治療に使われるステロイド外用薬は、もともとこのコルチゾールの働きを応用したものです。
つまり、コルチゾールは本来、
- 皮膚の炎症を抑える
- かゆみを抑える
- アトピーの症状を落ち着かせる
というような、私たちの肌を守るために使われてほしいホルモンなのです。
ところが、血糖値の乱高下が繰り返されると、このコルチゾールが**「血糖値を上げるための緊急対応」**に、優先的に使われてしまいます。
体にとって、血糖値が下がりすぎることは命に関わる緊急事態です。ですから体は、皮膚の炎症を抑えることよりも、まず血糖値を戻すことを優先します。これは体の防衛本能として、当然の反応とも言えます。
しかし結果として、
「本来アトピーを抑えるために使われてほしかったコルチゾールが、血糖値の後始末に使われてしまい、肌の炎症やかゆみを抑える方には回りにくくなる」
という状態が起きてしまうのです。これを私は「コルチゾールの無駄遣い」と呼んでいます。
精製糖質を摂るたびに血糖値の乱高下が起き、そのたびにコルチゾールが血糖値の後始末に使われる。これが毎日、1日に何度も繰り返されるとしたら…体はずっと「血糖値の火消し」に追われてしまい、肌のケアにコルチゾールを回す余裕がなくなってしまいます。
これが、「血糖値の乱高下が、アトピーの改善を邪魔している」と考えられる理由です。
4.続けると起こる「副腎疲労」とは
血糖値の乱高下による「コルチゾールの無駄遣い」が、毎日のように繰り返されるとどうなるでしょうか。
コルチゾールを作っているのは、腎臓の上にある「副腎」という小さな臓器です。この副腎に、血糖値の緊急対応のために、何度も何度も「コルチゾールを出せ!」という指令が飛び続けると、副腎は休む暇なく働き続けることになります。
これが続いた結果として起こると考えられているのが、**「副腎疲労」**と呼ばれる状態です。
副腎疲労とは、簡単に言うと、
「副腎が働きすぎて疲れてしまい、必要なときに必要な量のホルモンを、うまく出せなくなってしまう状態」
のことです。
車で例えるなら、アクセルを踏みっぱなしで走り続けたエンジンが、だんだんとオーバーヒート気味になっていくようなイメージです。
副腎疲労が起こると、
- 朝、なかなか起きられない
- 慢性的にだるい、疲れが取れない
- 少しのことでイライラしたり、落ち込みやすくなる
- 肌の炎症やかゆみが慢性化しやすくなる
といった不調が出やすくなると言われています。
もちろん、副腎疲労という概念は医学的にすべてが確立されているわけではなく、まだ研究段階の部分もあります。ですが、自律神経を整える施術の現場では、「血糖値の乱れが続いている方ほど、体が常に緊張状態で、疲れが抜けにくい」という傾向は、実際によく見られる現象です。
精神的なストレスと、実はよく似ている
ここでひとつ、大切な気づきがあります。
血糖値が下がりすぎたときに、コルチゾールやアドレナリンが出て体が緊急対応をする。これは実は、「精神的なストレスを感じたときに、体に起こる反応」ととてもよく似ているのです。
私たちは、仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなど、精神的なストレスを感じたときにも、同じようにコルチゾールやアドレナリンが分泌されます。これは、大昔の人間が「敵に襲われた!」というような命の危険を感じたときに、瞬時に体を戦闘モードにするための仕組みが、今も残っているためです。
つまり、
- 精神的なストレスがずっと続いている状態
- 血糖値の乱高下がずっと続いている状態
この2つは、体にとっては**「常に緊急事態モードのスイッチが入りっぱなしになっている」**という意味で、とてもよく似た負担のかけ方をしているのです。
「ストレスが多いとアトピーが悪化する」というのは、皆さんも経験上、聞いたことがあるかもしれません。それと同じように、「血糖値の乱高下」も、体にとっては一種のストレスとして働き、アトピーの改善を邪魔してしまう可能性がある、ということを知っておいていただきたいのです。
5.血糖値の乱高下が続くと起こる「インスリン抵抗性」
もうひとつ、血糖値の乱高下が続くことで起こる、大切な変化についてお話しします。それが**「インスリン抵抗性」**です。
インスリンの本来の働き
まず、インスリンの働きをおさらいしましょう。
インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて、エネルギーとして使わせたり、脂肪として蓄えさせたりする働きを持っています。いわば、血液中のブドウ糖を、体の各細胞という「部屋」に届ける「配達員」のような存在です。
インスリンが「ドアをノックして、ブドウ糖を届けますよ」と細胞に伝えると、細胞の扉が開いて、ブドウ糖を受け取ってくれます。こうして血液中のブドウ糖が減り、血糖値が下がる、という仕組みです。
インスリン抵抗性とは
ところが、血糖値スパイクが毎日のように繰り返され、インスリンが何度も何度も大量に分泌され続けると、細胞側も少しずつ変化してきます。
インスリンという「配達員」が、あまりにも頻繁に、あまりにも大量にやってくるので、細胞のほうが「毎回毎回うるさいな」と、だんだんインスリンの声(ノック)に反応しにくくなってしまうのです。
これが**「インスリン抵抗性」**と呼ばれる状態です。つまり、
「インスリンが分泌されているのに、細胞がそれに反応しにくくなり、血糖値が下がりにくくなってしまう状態」
のことです。
インスリン抵抗性が起こると、体は「インスリンを出しているのに血糖値が下がらない、もっとインスリンを出さなければ」と考え、さらに大量のインスリンを分泌するようになります。すると、
- 血糖値の乱高下がさらに激しくなる
- 血糖値を上げるためのコルチゾールも、さらに頻繁に必要になる
- コルチゾールの無駄遣いが、さらに悪化する
という悪循環に陥ってしまいます。
このように、精製糖質の摂りすぎ → 血糖値スパイク → インスリン大量分泌 → インスリン抵抗性 → さらなる血糖値の乱高下 → コルチゾールの無駄遣いの悪化、という負のループが出来上がってしまうと、アトピーの改善はどんどん難しくなってしまうのです。
6.まとめ 血糖値を安定させることが、アトピーケアの土台になる
ここまでの内容を、簡単に整理してみましょう。
- 昔に比べて、精製糖質(白いご飯、パン、麺、お菓子、ジュースなど)を摂る機会が増えた
- 精製糖質はGI値が高く、食べると血糖値が急上昇しやすい
- 血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌され、その反動で血糖値が下がりすぎる(低血糖)
- 下がりすぎた血糖値を戻すために、コルチゾールやアドレナリンが分泌される
- 本来アトピーの炎症やかゆみを抑えるために使われてほしいコルチゾールが、血糖値の後始末に使われてしまう(コルチゾールの無駄遣い)
- これが繰り返されると、副腎が疲れてしまい(副腎疲労)、精神的なストレスが続いているのと似た負担が体にかかり続ける
- さらに、インスリンが出続けることで細胞が反応しにくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値の乱高下がより悪化しやすくなる
こうして見てみると、「肌の症状」と「血糖値の状態」が、体の中では意外なところで深くつながっていることがわかっていただけたのではないでしょうか。
では、どうすればいいのか
血糖値の乱高下を穏やかにするために、日常生活の中でできる工夫としては、たとえば次のようなことが挙げられます。
- 白いご飯やパンを、玄米や全粒粉のものに置き換えてみる
- 甘いお菓子やジュースを、毎日ではなく「たまの楽しみ」に変えていく
- 食事の際、野菜やたんぱく質から先に食べて、糖質を最後に食べる(血糖値の急上昇を緩やかにしやすいと言われています)
- 空腹の時間を長く空けすぎない(急激な低血糖を防ぐ)
- 規則正しい睡眠をとり、自律神経の負担を減らす
もちろん、これらを完璧にこなす必要はありません。まずは「血糖値の乱高下も、アトピーに関係しているかもしれない」と知っていただくことが、大きな一歩だと思っています。
私たちの自律神経整体では、こうした血糖値と自律神経、そしてお肌の状態のつながりも踏まえながら、根本から体を整えていくお手伝いをしています。
「保湿もステロイドもがんばっているのに、なかなか良くならない」という方は、もしかしたら、血糖値の乱高下が体の中でブレーキをかけてしまっているのかもしれません。ぜひ一度、食生活や生活リズムを見直すきっかけにしていただければと思います。
なお、アトピーの症状が強い場合や、急激な悪化が見られる場合は、自己判断だけで対応せず、まずは皮膚科などの医療機関にご相談ください。この記事の内容は、あくまで体の仕組みを理解していただくための一つの視点としてお読みいただけますと幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



