こんにちは。横浜馬場整体院の馬場佳志です
当院にお越しくださる方の中には、皮膚科での治療を長く続けてきたけれど、なかなか根本的な改善を実感できずにいらっしゃる方が本当に多くいます。ステロイドや保湿剤で一時的に症状を抑えることはできても、季節の変わり目やストレス、食事の乱れですぐにぶり返してしまう。そんなご相談を伺うたびに、僕はいつも「皮膚だけを診ていては、本当の意味でのアトピー改善は難しいのではないか」と感じています。

今日は、当院がアトピー改善のアプローチとして重視している「リーキーガット(腸管壁浸漏症候群)」という腸の状態について、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。少し長い文章になりますが、アトピーと腸の関係を理解していただくことは、これからのセルフケアを考えるうえでとても大切な土台になりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

数年前の動画ですが、ユーチューブでこのテーマについて話しております


腸腸管粘膜は内外の城壁である

まず最初にお伝えしたいのは、腸というものが単なる「食べ物を消化して栄養を吸収するだけの管」ではないということです。

腸、特に小腸の壁は、私たちの体にとって「城壁」のような役割を果たしています。城壁の内側には私たち自身の体――血液やリンパ液、そして全身の細胞たちが存在しています。そして城壁の外側には、食べ物として日々取り込まれる、本来「異物」であるはずのタンパク質や細菌、ウイルス、毒素などが絶えず押し寄せてきます。

健康な腸の壁は、この城壁の役割を非常に精密にこなしています。体に必要な栄養素――しっかり分解されたアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などは城壁の内側に招き入れる一方で、まだ分解しきれていない大きなタンパク質のかけらや、有害な菌、毒素などはしっかりと城壁の外に締め出す。この「入れるものと入れないものを正確に選び分ける」機能こそが、腸壁の最も重要な仕事なのです。

ところが、何らかの原因でこの城壁――腸の壁を作っている細胞と細胞のつなぎ目(専門的には「タイトジャンクション」と呼ばれます)に隙間ができてしまうことがあります。これが「リーキーガット(leaky gut)」、日本語で「腸もれ」と呼ばれる状態です。城壁に穴が開けば、本来は入ってはいけないはずの異物が、次々と体の内側へと侵入してしまいます。そしてこの「城壁の崩壊」こそが、アトピーをはじめとするさまざまな慢性的な不調の引き金になっています。

なぜ腸に穴が開いてしまうのか―その代表的な原因

リーキーガットを引き起こす原因はひとつではなく、ストレス、睡眠不足、抗生物質の多用、加工食品の摂りすぎなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。その中でも当院が特に注目しているのが、次の3つです。

  1. グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)
  2. カゼイン(乳製品に含まれるタンパク質)
  3. カンジダ菌(腸内に住む常在真菌の一種)

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

人間はグルテンを分解する酵素を持っていない

まずグルテンについてです。グルテンは小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質で、パンのもちもちとした食感やパスタのコシを生み出すもとになっています。日本人の食生活にも、パン、麺類、お菓子、揚げ物の衣など、実に多くの場面でグルテンが入り込んでいます。

ここで、あまり知られていない、しかしとても重要な事実があります。それは、人間の消化器官には、グルテンを完全に分解するための酵素が備わっていないということです。

私たちの体は、タンパク質を食べると、胃酸や消化酵素(ペプシン、トリプシン、キモトリプシンなど)を使って、アミノ酸という最小単位にまで分解しようとします。通常のタンパク質であれば、このプロセスによってほぼ完全にバラバラに分解され、腸から安全に吸収されていきます。

ところが、グルテンの中に含まれる「グリアジン」という部分は、アミノ酸の配列が非常に特殊で、人間の消化酵素ではどうしても完全に切り離すことができません。分解しきれずに残ったグリアジンの断片は、比較的大きな分子構造のまま、消化器官の中を漂い続けることになります。

分子構造的に完全に消化しきれないものが、そのままの形で体の中を通過していく――これがグルテン問題の出発点です。

消化しきれないグルテンが小腸に留まり続ける

通常、食べ物は口から入り、胃、十二指腸、小腸、大腸へと数時間から半日程度かけて移動し、消化・吸収されながら最終的に排泄されていきます。しかし、分解しきれなかったグルテンの断片は、この自然な流れの中でも、なかなかスムーズに体外へ排出されずに、小腸の粘膜付近に留まり続けることがあると考えられています。中には、数週間から数ヶ月単位で小腸の壁の周辺に居座り続けるケースもあると言われており、これは体にとって非常に大きな負担になります。

なぜそんなに長く留まってしまうのでしょうか。理由のひとつは、グリアジンの分子構造が粘着性を持ち、腸の粘膜に絡みつきやすい性質を持っていることです。もうひとつは、腸内環境がすでに乱れている場合、腸のぜん動運動(食べ物を先へ先へと押し出していく腸の動き)が弱まっており、老廃物や未消化物がスムーズに排出されにくくなっていることです。

こうして小腸に留まり続けたグルテンの断片は、腸の粘膜に対して物理的・化学的な刺激を与え続けます。これが慢性的な腸の炎症につながっていきます。炎症が続くと、腸の粘膜細胞は本来の機能を保てなくなり、細胞と細胞をぴったりと結びつけていたタイトジャンクションが緩み始めます。

細胞と細胞の間に「挟まり込む」グルテン

ここが非常に重要なポイントです。タイトジャンクションが緩み、腸の壁の細胞同士の間にわずかな隙間ができると、消化しきれていない大きなグルテンの分子は、その隙間に物理的に挟まり込んでしまうのです。

本来であれば、腸の壁の細胞はレンガのようにぴったりと積み重なって並び、その隙間を接着剤のようなタイトジャンクションでしっかりと固めています。これにより、栄養素は細胞そのものを通り抜けるルート(専門的には「トランスセルラー経路」)からのみ体内に吸収され、余計なものが細胞の隙間から漏れ出すことはありません。

しかし、慢性的な炎症でタイトジャンクションが緩んでしまうと、細胞と細胞の隙間(「パラセルラー経路」)から、本来通過するはずのなかった未消化のグルテン断片が、そのまま体の内側――つまり血液やリンパ液が流れる場所へと入り込んでしまいます。城壁の石と石の間に隙間ができ、そこから侵入者が入り込んでしまうようなイメージです。

これが、まさに「リーキーガット」という現象の核心部分です。腸の壁という城壁に穴が開き、本来なら外の世界に留めておくべき異物が、体の内側へと漏れ出してしまう。この状態が続くことで、私たちの体には次のような深刻な問題が起こり始めます。

脳が「異物」と認識し、免疫のバランスが崩れる

未消化のグルテンの断片が血液やリンパ液の中に入り込むと、体の防衛システムである免疫系がこれに反応します。免疫系の役割は、体にとって危険な異物(細菌、ウイルス、毒素など)を見つけ出し、攻撃して排除することです。

しかし、リーキーガットによって体内に入り込んでしまった未消化のグルテンやカゼインの分子は、免疫系にとって「見慣れない、正体不明の物質」として認識されます。脳と密接に連携している免疫システムは、この異物を「体を守るために排除すべき敵」と判断し、攻撃態勢に入ります。

本来、私たちの免疫システムは、明確な脅威にだけ集中的に攻撃を仕掛けるように精密に調整されています。ところが、リーキーガットの状態が続くと、体内に次から次へと「異物」が侵入してくるため、免疫システムは常に警戒態勢を強いられ、疲弊し、次第にその判断がずれていってしまいます。

さらに厄介なことに、グルテンの分子構造の一部が、私たちの皮膚や関節などを構成するタンパク質の構造とよく似ている場合があります。これにより免疫システムが「本来の敵(グルテン)」と「自分自身の組織」を誤って混同し、自分自身の皮膚組織まで攻撃対象にしてしまうことがあると考えられています。これがいわゆる自己免疫的な反応であり、皮膚に慢性的な炎症、かゆみ、赤み、バリア機能の低下といったアトピー特有の症状を引き起こす一因になっているのです。

つまり、皮膚に表れているかゆみや炎症は、実は「皮膚だけの問題」ではなく、腸で起きている異物侵入と免疫の混乱が、皮膚という別の場所に症状として表れているサインだと捉えることができます。皮膚科での外用治療だけではアトピーの根本改善が難しいと感じられる方が多いのは、まさにこの「腸で起きている本当の原因」にアプローチできていないからではないか、と当院では考えています。

カゼインもグルテンと似た問題を起こす

グルテンと並んで注意したいのが、牛乳や乳製品に含まれるタンパク質「カゼイン」です。カゼインもまた、その分子構造が複雑で、人間の消化酵素だけでは完全に分解しきれないタンパク質のひとつとされています。

特に、牛乳に含まれる「A1カゼイン」というタイプは、消化の過程で「BCM-7(ベータカソモルフィン-7)」という物質を生成しやすいことが知られています。この物質は炎症反応に関与するとも言われており、グルテンと同様に、腸の粘膜を刺激し、タイトジャンクションを緩める要因になり得ます。

グルテンとカゼインは、消化されにくいという性質、腸に炎症を起こしやすいという性質、そして免疫系に混乱を与えやすいという性質において、非常によく似た問題を引き起こします。アトピーのある方に「小麦と乳製品を控えてみてください」とお伝えすることが多いのは、この2つが腸のバリア機能に与える負担が特に大きいと考えられるためです。

カンジダ菌の異常増殖が腸壁をさらに傷つける

リーキーガットを語るうえで、もうひとつ欠かせないのがカンジダ菌の存在です。

カンジダ菌は、もともと私たちの腸内に少量ながら常に存在している「常在菌」の一種で、普段は腸内細菌たちのバランスの中でおとなしく共存しています。しかし、抗生物質の使用、糖質・甘いものの摂りすぎ、ストレス、免疫力の低下などが重なると、カンジダ菌は腸内で異常に増殖を始めてしまうことがあります。

カンジダ菌が増えすぎると厄介なのは、この菌が「菌糸(きんし)」と呼ばれる、根っこのような形状に姿を変える性質を持っている点です。菌糸状に変化したカンジダ菌は、まるで木の根が地面に食い込んでいくように、腸の粘膜の中にまで入り込み、物理的に腸壁を突き破ってしまいます。

さらに、カンジダ菌は増殖する過程で「アセトアルデヒド」をはじめとする毒素を放出し、これが腸粘膜に対する化学的なダメージにもなります。カンジダ菌による物理的な菌糸の侵入と、化学的な毒素によるダメージ――このダブルパンチによって、腸壁のタイトジャンクションはますます緩み、リーキーガットの状態がさらに悪化していくのです。

つまり、グルテンやカゼインによる炎症で腸壁が弱くなっているところに、カンジダ菌の増殖が追い打ちをかけ、腸のバリア機能の崩壊が加速していく――これが、アトピーがなかなか改善しない方の腸内で起きていると考えられる悪循環です。

カンジダ菌の抑制に役立つ「ロイテリ菌」

では、増えすぎてしまったカンジダ菌に対して、どのようなアプローチが考えられるでしょうか。

当院がひとつの選択肢としてお伝えしているのが、**ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri / ラクトバチルス・ロイテリ)**という乳酸菌の一種です。

ロイテリ菌は、もともと人間の母乳や口腔内、腸内にも存在が確認されている乳酸菌で、他の乳酸菌にはあまり見られない特徴として、「ロイテリン」という抗菌物質を作り出す力を持っています。このロイテリンには、カンジダ菌をはじめとする有害な菌や真菌の増殖を穏やかに抑える働きがあると言われており、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整えるサポート役として近年注目されています。

腸内で優勢な善玉菌を増やし、カンジダ菌のような日和見菌が過剰に増殖しにくい環境を整えていくことは、リーキーガットの改善において非常に重要なステップのひとつです。カンジダ菌の増殖を抑えつつ、善玉菌が働きやすい腸内環境を取り戻していくことで、傷ついた腸壁が本来の修復力を発揮しやすくなっていきます。

もちろん、ロイテリ菌を摂取すればそれだけですべてが解決するというわけではありません。あくまで、グルテンやカゼインの摂取を見直し、腸に負担をかける生活習慣を整えていくことと合わせて、腸内環境をサポートする一つの手段として取り入れていただくのが良いと考えています。

整体からアプローチできること

「腸の話なのに、なぜ整体なのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。当院がアトピーの方に整体という形でアプローチする理由は、腸の働きが自律神経や体の緊張状態と密接に関わっているからです。

腸のぜん動運動は自律神経によってコントロールされており、体が慢性的な緊張状態やストレス状態にあると、自律神経のバランスが乱れ、腸の動きそのものが鈍くなってしまいます。腸の動きが鈍くなれば、未消化物や老廃物が腸内に留まりやすくなり、炎症のリスクも高まります。また、背骨や骨盤まわりの緊張は、腸そのものへの血流やリンパの流れにも影響を与えると考えられています。

当院では、お身体の緊張を丁寧に緩め、自律神経が働きやすい状態を整えていくことで、腸が本来持っている「動く力」「回復する力」をサポートしていくことを大切にしています。そのうえで、食生活の見直し(グルテン・カゼインの摂取を控える、糖質の摂りすぎに注意するなど)についてもあわせてお伝えし、体の外側(骨格・筋肉・自律神経)と内側(腸内環境)の両方からアトピー改善にアプローチしていくことを目指しています。

まとめ―皮膚の症状は、体からの大切なメッセージ

ここまで、アトピーとリーキーガットの関係について、かなり詳しくお伝えしてきました。最後に、大切なポイントを整理しておきます。

  • 腸の壁は、体にとって必要なものだけを取り込み、不要なものを締め出す「城壁」のような役割を担っている
  • 人間はグルテンを完全に分解する酵素を持っておらず、消化しきれない断片が長期間小腸に留まりやすい
  • 消化しきれないグルテンやカゼインが腸に炎症を起こし、腸壁の細胞同士の隙間(タイトジャンクション)を緩めてしまう
  • 緩んだ隙間に未消化の分子が挟まり込み、本来は入るはずのなかった異物が体の内側へと漏れ出してしまう(リーキーガット)
  • 脳と連携する免疫システムがこれを「異物」と認識し、過剰に反応することで免疫バランスが崩れ、皮膚の炎症やかゆみとして表れることがある
  • カンジダ菌の異常増殖は、菌糸による物理的な侵入と毒素の放出によって、腸壁のダメージをさらに悪化させる
  • ロイテリ菌には、カンジダ菌の増殖を穏やかに抑えるサポートが期待でき、腸内環境を整える選択肢のひとつになり得る

アトピーの症状は、決して「皮膚だけの問題」ではありません。皮膚に表れているかゆみや炎症は、腸という体の内側で起きている変化が、体の外側にサインとして表れている状態だと当院では考えています。

もし今、皮膚科での治療を続けていてもなかなか改善を実感できずにいる方がいらっしゃれば、一度、ご自身の腸内環境や食生活、そして体の緊張状態について見直してみることをおすすめします。当院では、お一人おひとりの体の状態に合わせて、施術と生活習慣のご提案の両面からアトピー改善のサポートをさせていただいております。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


※本記事は、当院の施術方針や考え方に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の症状の診断や治療を保証するものではありません。持病がある方、通院中の方は、必ず医療機関にもご相談のうえ、ご自身の判断で対策を行ってください。